2009年05月21日(木)山は今が春爛漫!穴場(時)?です
先日群馬県の谷川岳に行ってきました。谷川岳と言えば、川端康成の『雪国』の一説にあるあの有名な一文『トンネルを抜けると雪だった』。そのトンネルの上にある山塊こそ谷川岳なのであります。関東と越後を隔てる谷川連峰と呼ばれる一郡の山々です。冬場は日本海を渡って来る湿った空気がこの山塊にぶつかり、越後側に大量の湿った雪を降らせます。一方山塊の反対側に当たる関東地方は、降雪で水分を失ったドライな「空っ風」が吹き下ろし、冬晴れの晴天が続きます。本当にトンネルの向こうとこちらでは嘘のように天気が異なります。自然のなす事はダイナミックで不思議です。
さてその谷川岳。『一ノ倉沢』の名前は山好きの方ではなくても、何となく聞いたことがある名前ではないでしょうか。一の倉沢は日本三大岩壁の一つに数えられるごつごつとした岩肌の険しい山容の沢です。毎年大量の雪が流れ下る事により、年月を経て荒々しく削り取られたその形状には、沢山の谷やオーバンハングがあり、二千㍍にも満たない標高にもかかわらず、真夏でも雪渓が残ります今に語り継がれる昭和35年のザイル宙づり事件を始めとし、多くのクライマー達が命を落とした魔の山でもあります。
大きな地図で見る今回訪れたのは、一の倉沢の出合と呼ばれる岩壁の登り口の部分。関越自動車道の水上ICから国道291号線を谷川岳方面へ進むと、行き止まりの終点がこの一の倉沢出合いです。 谷川岳の山頂はトマノ耳(標高1977m)とオキノ耳(標高1963m)の双耳峰。現在では谷川岳ロープウェイで天神平まで上がると、そこから徒歩でおよそ2時間半で登頂可能です。しかし複雑な地形と、急峻な岩壁に加え、この地域は本州の中央分水嶺に当たるため、急な天候の変化も多く、今日でも遭難者の数では他の追随を許さないハイリスクなエリアです。乗り物を下り、徒歩で山に入る場合には、入念な準備とそれなりの装備が必要であることは覚えておいてくださいね。

さてさて軟弱な私は、一の倉沢出合付近を少々歩き回り、そのまま隣の幽の沢出合まで水平方向にトレッキングしてみました。これなら殆どアップダウンもなく、トレッキングと言うよりもウォーキングに近い感じ。付近一帯の状況に詳しい方にガイドをお願いして歩いてみました。
車を降りた途端に沢山の雪が残っていました。半袖のポロシャツで気持良い気温なのにです。目の前には雄大な大岩壁!谷筋はまだまだ大量の雪で埋め尽くされています。地元の方によると、今年は雪解けが早いのだそうです。 「えっ!これで?」とびっくり。岩壁の間を走る白い線は、雪解け水が滝となって流れ落ちているのだそうです。近づくときっとものすごい高さと水量なのでしょうね。

このあたりでは季節はちょうど一ヶ月戻ったくらい。木々の新芽が芽吹き、シダがクルクル巻いた芽を伸ばし、スミレや小さな花たちが足元の緑に華を添えていました。雪解け水が集まって流れる川の水はまさに氷水。手を浸すと痛いほど冷たくて、三十秒もガマンできません。沢を埋め尽くした雪渓の下に川の流れがありました。雪渓の上を歩いても全然大丈夫な雪の量ですが、ちょっと不安になりますね。この冷たい流れでは、落ちたらアウト!。しかし雄大な絶景、そして何とも言えない雰囲気。魔の山と言われながら、それでも人々を惹き付けて止まない、確かに不思議な魅力のある場所でした。

大賑わいだった大型連休から二週間。平日だったこともあり、道路はスイスイ、観光地もひっそりと静かでした。ちょうど高原や山々は芽吹きの季節を迎えた頃で、新緑も美しく、高山には残雪の白。お天気が良ければ空のブルーも加わって素晴らしいコントラストが楽しめます。梅雨入りまでの短い間ですが、自然をゆっくり楽しむには一番良い季節。連休後でお財布は寂しいし、あまり出掛ける気にならない時期ですが、日帰りコースで小旅行。自然の中に出掛けてみては如何でしょう。今年二度目の静かな春を是非楽しんでください。
人の多くない時期だからこそ、自然の中に入る際は十分な事前の情報収集と準備、万が一のリスクに対する備えはお忘れなく。地元のガイドさんを頼むと安心です。
Writen by Y
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