2009年09月24日(木)彼岸花ってとても不思議な花ですね。
秋のお彼岸が近づくと、川の土手やお墓の近く、庭の日陰などに突然咲く赤い花。葉はどこにも見当たりません。ある日突然のように真っ赤な花が咲いている。しかも毎年間違うことなく、見事にお彼岸の頃に咲くことからその名も彼岸花。本当に不思議な花ですね。葉っぱは見たことがないように思います。「そろそろ見ごろ…」との噂を聞いて、埼玉県日高市にある群生地『巾着田』へ行ってきました。
巾着田と言う名前は、その地域の形状からつけられた俗称との事で、地元のみなさんは“川原田”と呼ぶのだそうです。地図で見ると良く解るのですが、付近を流れる高麗川がこの地域で大きく蛇行し、まるで口を絞った巾着のような形になっています。その蛇行する川の内側の面積がなんと22ヘクタール。古くはその全てが田んぼだったそうです。現在はおよそ半分ほどが自然を生かした市民の憩いの場として整備され、残りの半分は休耕田、牧場、そして一部に水田が残ると言った状況です。
巾着田のサイトはこちら

ではちょうど今見頃を迎えている彼岸花について少しお話しましょう。この植物はヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、無性生植物のため種子での繁殖が出来ず、球根でのみ増えてゆきます。関東地方では九月始め頃、アスパラガスのような緑の花茎が地表に顔を出し、およそ一週間ほどで30~50㎝ほどに伸びて、先端数個の赤い花を咲かせます。この時地表に葉はなく、花茎が地表に出てから開花までの期間も短いため、何も無いところに突然真っ赤な花が咲いたように感じるのでしょうね。花が終わると草丈と同じくらいの細長い葉が地表面に広がるようにして出てきます。しかしそれも春先になると枯れてしまい、花茎が地表に顔を出す秋口まで、地面の上には一切何もありません。なんとも不思議な生態です。
ヒガンバナにはたくさんの呼び名があります。彼岸の頃に咲くので彼岸花。曼珠沙華は良く聞きますね。他にも死人花、地獄花(有毒であること、墓地に多く見られるためでしょうか)、幽霊花、狐花(ある日突然何も無いところに派手な花が咲くからでしょうか)などなど、全国各地に数百種類もの呼び名があると言われます。どれもあまり明るく楽しいイメージではありませんね。

ヒガンバナは有毒植物です。根の部分にリコリンと言う成分を多く含み、誤って口にすると中枢神経に作用し、多量の場合は死に至ることもあり危険です。一方ヒガンバナは生薬として利尿や去痰に用いられてきましたが、薬と毒は紙一重、使い方を誤ると危険ですので、素人は手を出さない方が賢明ですね。ヒガンバナが田んぼの畦道や墓地で多く見られるのも、実はこの毒由来と言う見方もあります。ヒガンバナでは毒が地下の根の部分にあるため、これを周囲に植えることで田んぼにとっては迷惑なモグラ、ネズミなどが嫌って近づかないように。また土葬だった時代には、墓地が動物に荒らされるのを防ぐ目的で、人により植えられてきたと言う説です。なるほど生活の知恵ですね。でもそのために不吉な名前をつけられたのでは彼岸花が可愛そうな気もします。
日本の彼岸花は、原産地の中国から持ち込まれたものといわれていますが、欧米ではリコリスと言う学名で呼ばれ、同種のものがたくさんあります。花の開花時期が先祖参りの習慣がある彼岸に近く、また前述のように墓地などに多く見られることから、日本ではあまりイメージが良くありませんが、改めてみると華やかで美しい花ですよね。欧米では園芸種としてはもちろん、切花種としても用いられ、品種改良も進んでいるようです。日本でも最近はリコリスの呼び名で多くの園芸種を見かけるようになりました。有毒種ゆえか、殆ど病害虫の被害がないそうです。それなら案外栽培は簡単かもしれません。来年当たり挑戦してみましょうか…。
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