2010年04月26日(月)『虫除け香』ってご存じですか?
四月もいよいよ終盤、大型連休ももうすぐですね。今年の春は全国的に天候が不順なようで、GLホーム本社のある東京地方でも、青空を見る機会は少なかったように思います。
さて、低温傾向が続いた今年の春。まだ春の衣替えが完了出来ずにいらっしゃる方も多いのでは無いでしょうか?私も一旦片付けた冬物を再び引っ張り出して着ています。『せっかくきれいにして片付けたのだから・・・』と当初は痩せ我慢していました。しかし低温は続き、時折真冬のような寒さになるので、遂にギブアップ! 次々に冬物再登場となってしまいました。今日はそんなこんなで時期を逸した春の衣替えにおしゃれなアイディアをお届けします。『香りを使いこなして しあわせライフ!その2』始まり始まり~!
『虫除け香』?蚊取線香のことではありません!

蚊取線香は火を点けて焚く虫除け香ですね。今日ご紹介する『虫除け香』は火を点けないタイプのお香です。衣替えの際に皆さんは防虫剤を入れられますか? 私が子供の頃はナフタリン、とかパラゾールなどと言って、錠剤型のパラジクロールベンゼン製剤が小さな袋に二個ずつ入ったものを、タンスの引き出しや衣装箱に2~3個入れていました。今でも色々な衣類用の防虫剤が売られていますね。『虫除け香』とはこの防虫剤と同じ用途のお香です。大切な衣類や掛け軸、お人形などが保管中虫に食われたり、汚されたりしないように忌避するためのもの。タンスの引き出しに入れたり、掛け軸やお人形の箱に入れたり、着物を納める畳紙(たとうし)の中に入れたりして使います。もちろん火は点けません、そのままそっと入れるだけのお香です。
伝統的なお香の原料はスパイスや漢方薬が中心

『お香=香りを楽しむもの』単純にそう思われていらっしゃる方が少なくないと思います。しかしお香の原料はその殆どがスパイスや漢方薬。『和漢香薬種』と呼ばれるものです。“お香の原料と言えば香木でしょう?”そんな声が聞こえて来そうですね。もちろん伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)の三大香木をはじめ、栴檀(せんだん)クロモジなど香木の類はお香の大切な原料です。しかしお香の原料は香木だけではありません。安息香(あんそくこう)、没薬(もつやく)、大茴香(だいういきょう)、丁字(ちょうじ)、桂皮(けいひ)、藿香(かっこう)、零陵香(れいりょうこう)、鬱金(うこん)、山奈(さんな)、排草香(はいそうこう)、甘松(かんしょう)、龍脳(りゅうのう)etc. これらは代表的なお香の原料ですが、植物の根、樹脂、樹皮、葉や茎、花のつぼみ、実などを乾燥したもので、皆さんおなじみのスパイスもいくつか含まれていますね。
桂皮(けいひ)はシナモンのこと、 鬱金(うこん)はターメリック、大茴香(だいういきょう)はスターアニス(八角)、葉や茎はフェンネルとして流通しています。他にも丁字(ちょうじ)はクローブ、藿香(かっこう)はパチョリなどなど、“へぇ~、そうなんだ~!”とびっくりします。食品スーパーのスパイス売り場でお香の原料が手に入るとは…。
『困ったときのお助け薬草』から発展したスパイスや香薬種、そこから生まれた虫除け香

現代のように科学万能ではなかった時代、人々は自然の中から暮らしに必要なものを探し出し、その恵みで暮らしていました。日本でもお侍さんが町を闊歩(かっぽ)していた時代の薬と言えば、薬草(薬種)をブレンドしたものが中心だったはず。当然抗生物質なんて無いわけですから、植物の根や実、葉、茎、樹皮、樹脂をはじめ、動物由来のものまで、それぞれの効能を経験値的に体系化健胃、発汗、解熱、鎮痛薬として、茴香(ういきょう)の効能は健胃、整、去痰、鎮痛、抗菌作用と言った具合です。

その中で虫を忌避する効果のあるものを集めて調合したものが『虫除け香』というわけです。具体的には、丁子(ちょうじ)、龍脳(りゅうのう)、没薬(もつやく)、大茴香(だいういきょう)、、桂皮(けいひ)、藿香(かっこう)、零陵香(れいりょうこう)、山奈(さんな)、排草香(はいそうこう)、などに虫を忌避する効果があるとされています。中でも没薬(もつやく)は古代ミイラ作りの際に防腐剤として使われたと言う記録もあるとか。何をどのようにブレンドするかはそれぞれ香舗(お香メーカー)の企業秘密のようですが、これら薬種の化学的虫除け効果に加え、『香』としての豊かな香りも虫除け香の大切な要素の一つですね。
和の香りの移り香が嬉しい『虫除け香』

私は数年前からこの虫除け香を愛用しているのですが、季節毎に掛け替える掛け軸や和装品など、虫除け香はついつい『和モノ』に優先使用してしまいます。別にこだわる必要は無いのですが不思議なものですね。掛け軸の入った桐箱を開けた時にふわっと香る虫除け香の和の香り、和服を羽織ると全身に広がるほのかな虫除け香の香り…。虫を除けるだけではなく、入れておいたところや衣類にほのかな香の香りがうつるところがまた魅力です。香舗によって香りは異なりますが、独特の清涼感ある香調は気持ちをシャンとさせてくれます。今年はウールのセーターの中にも虫除け香を入れておきました。来シーズン再び着るのが楽しみです。
日本の伝統が育んで来た虫除け香と言う文化。安価で手軽な防虫剤も便利ですが、たまにはスローに虫除け香…。なかなか粋なものですね。
Writen by K
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