2010年06月05日(土)ヒートポンプってどんな仕組み?

GLホーム本社のある東京地方は、この一週間ほど気持ちの良い晴天が続きました。六月に入って今更五月晴れといった感じです。「五月晴れ」といった季語や二十四節季などは、いずれも旧暦が使われていた時代から伝えられたものです。或いは本来今頃が五月晴れだったのかもしれませんね。
さて、今日は先週の話題の中でご紹介した省エネシステム『ヒートポンプ』についてお話してみましょう。なぜヒートポンプは省エネなのか?難しい話は抜きにして、大人も子供も一緒に考えてみましょうね。
ヒートポンプ=熱の汲み上げ?

直訳すると不思議な名称ですね。ヒートポンプの原理は物質を圧縮すると熱が生まれ、膨張させると熱が奪われると言う自然の原理を応用したものです。自然界の物質は、絶対0度(-273.15℃)より高い温度である限り、原子は熱振動をしており、そこにエネルギーが存在します。そのエネルギーを利用する=汲み上げる=というのがヒートポンプの名前の由来のようです。電力会社によるエコキュートのコマーシャルに『空気でお湯を沸かす』というコピーがありますが、その根拠もこのあたり。私たちの周囲にある空気はもちろん絶対0℃以上の温度を持っています。と言うことはエネルギーを持っている訳ですから、これを利用できると言う理屈になるのです。いやいやちょっと話がむずかしくなってしまいましたね。『絶対0℃』って確か中学の時学校で習ったような…。どこかで聞いたような…。
冷却技術として実用化が進んだヒートポンプシステム。冷蔵庫もこの原理です。

昨今注目されているヒートポンプの原理、なんと19世紀後半には理論的に確立していたそうです。1世紀以上も前にこんなシステムが考えられていたなんて凄いですね。でも20世紀は消費の時代だった所以かあまり注目されなかったようです。先に実用化が進んだのが冷却装置としての利用でした。即ち物質を膨張させて奪われる熱(気化熱)を利用して今ある温度より冷たい温度を作り出すと言う仕組みです。
日本で冷蔵庫が普及したのは戦後の話。戦前も『冷蔵庫』という物はあったのですが、なんと木で出来ていて、氷屋さんから購入した氷の固まりを設置し、そこから発せられる冷気で庫内をの温度を下げると言う超原始的なもの。現代のクーラーボックスと仕組みは同じですが、断熱材の性能が大きく異なりますので、どんな物だったのでしょうね。戦前生まれの方は記憶していらっしゃる方も少なくないと思います。そんな日本に戦後デビューしたのが、海外から技術を導入して作られた電気冷蔵庫。コンセントを繋ぐと氷も無いのに庫内は冷たい! 当時は不思議な夢の様な冷蔵庫だったことでしょうね。
ヒートポンプでなぜ冷える?

一番解りやすい例えは、注射の時に消毒で使うアルコール綿ですね。アルコールは液体ですが、肌を拭くと気温と肌の温度で蒸発し、ヒヤッとしますよね。これが気化熱。液体が気体になる時に周囲の熱を奪うのです。肌に触れたアルコールが蒸発して肌の熱を奪うので、ヒヤッと感じるのです。ところで液体が気体に為るという事は? そう、膨張することですね。膨張すると熱を奪う=温度が下がる。これが冷却技術の原理です。
ヒートポンプでは熱媒体と呼ばれる物を使います。冷蔵庫では従来フロンガスが使われていました。(現在はオゾン層破壊の原因に為るとして他の物質が使われるようになっています。)密閉された機関に熱媒体を封入し、コンプレッサーで圧力を加え一旦圧縮します。(例えばフロンガスであれば液化します) 次にこれを膨張=気化=させます。この際周囲の熱を奪う=気化熱=ので熱媒体は温度が下がります。車のエンジンのラジエターの様な仕組みの熱交換機を使って、熱媒体の冷たさを空気に伝え、冷たい空気を作ります。膨張した熱媒体は、再び圧縮-膨張-熱交換-圧縮…と連続して循環することで、継続的に冷たい空気を作り出すことが出来るのです。冷蔵庫、クーラーはこの仕組みで冷気を作っています。
冷えるだけではお湯は沸かせないはず?

もちろんその通りです。でも冷蔵庫の周囲は放熱しますね。クーラーの室外機の周囲も温度が高くなります。これは何故でしょう? 物質は膨張する時に熱を奪います。と言うことは、その逆も有りなんですね。圧縮する時には熱を生むのです。冷蔵庫、クーラーと言った冷却を目的とする機器では、この圧縮時に生まれる熱を外部に放熱(廃熱)しています。だから冷蔵庫には放熱盤が必要なのですね。
そして冷却機器の全く逆のサイクル、即ち圧縮によって生まれる熱を利用するのがエコキュートやエアコンの暖房運転なのです。 熱媒体を圧縮し、そこで生まれた熱をラジエターのような仕組みの熱交換機で空気や給湯の場合は水に伝え、温風やお湯を作り出すのです。熱媒体は次の圧縮にそなえ、一旦膨張させます。そこで生まれる気化熱は廃熱として外部に放出する仕組みです。そして冷蔵庫やクーラーとは逆回し、圧縮-熱交換-膨張-圧縮-熱交換-膨張…を繰り返して連続運転をしています。冬場、エアコンの室外機の前に立つと冷たい風を感じるのは、このマイナスの廃熱のせいだったんですね。
一台で両方使えるヒートポンプエアコンは日本向き?

東南アジアの国々のように一年中気温の高い地域では、クーラーは必要ですが、ストーブは必要ありません。一方高緯度のヨーロッパなどでは、暖房は必要ですが、冷房はあまり必要ではありません。一台で冷暖房両方に使えるヒートポンプ式のエアコンディショナーは、日本の様に冬は暖房、夏は冷房が必要な地域にぴったりな機器と言われています。一昔前、『エアコンの暖房は効率が悪いから冬はストーブで… 』などと言う話を聞いた事があります。でもヒートポンプ式のエアコンなら暖房に使ってもそんなに効率は悪くありません。電力はコンプレッサーを動かすためと、熱媒体の循環や送風などに使われているだけだからです。ただし、ヒートポンプ暖房の弱点が一つ。外気温がマイナス30℃などという極寒の環境では、熱媒体を圧縮して熱が生まれても、私たちが必要とする温度まで上がりきらないケースがあると言うことです。でも温帯に位置する日本であれば、極端な低温、或いは高温になることは少ないので、ヒートポンプ式が活用できると言うわけです。
『空気でお湯を沸かす~』の意味、そういうことなんです!

仮に外気温10℃の時、同じ温度になっている熱媒体をを圧縮して60℃のお湯を得たとします。その温度差50℃ですね。同じ条件で外気温がマイナス30℃だったとします。同じ圧縮をして同じだけ(50℃分)の熱を得たとしても、元がマイナス30℃ですから、単純計算で得られるお湯の温度は20℃。これではちょっとお風呂に入れませんね。空気がもともと持っている熱(温度)を圧縮することで増大させ、生まれた熱を温風やお湯として利用する。だから『空気でお湯を沸かす』という不思議な日本語になるのです。解ったような解らないような…。でもヒートポンプの原理はご理解いただけたでしょうか?
改めてこんなすばらしい技術が1世紀以上も前に確立していたことに驚きます。原理としては単純なのですが、この大自然の原理を私たちの生活に利用する仕組みを考え出したことが英知ですよね。省エネルギーの時代になって改めてクローズアップされているヒートポンプ。住まいの設備をお考えの際には、このヒートポンプのお話を思い出してみてくださいね。
Writen by S
- |エコ|
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