2010年08月01日(日)『お盆』の行事、ご家庭で何かしてますか?
さぁ、今日から八月。夏休みの子供たちもお休みペースに馴れてきた頃。そろそろ宿題に着手しないと後が恐ろしいことになりますよ~。お父さんの夏休みに合わせて旧盆の頃に家族でおじいちゃんおばあちゃんのところへ帰省される方も多いと思います。ところでみなさんお盆の行事はご家庭で何かされていますか? 最近は簡略化に簡略化を重ねて本当に形式だけになりつつある伝統行事。今日はお盆の行事について考えてみましょう。
全国各地に伝わるお盆の行事。実は時期も地域によってまちまちです。

お盆と言えば7月13~16日の新暦によるお盆、そして旧盆と呼ばれる8月13~16日のお盆がよく知られていますね。現代では旧盆は盆休み=夏休みの代名詞となった感があり、新暦の盆行事を行う地域でも『盆休みは旧盆』というところが多いようです。しかしながらこの盆行事の時期は新旧の二種類だけではありません。地域によっては8月の上旬だったり、7月の下旬だったり、実はまちまちなんですね。そもそもは旧盆がベース。新暦が採用された時に新暦に従って時期をずらしたのが7月の盆。そしてその他の時期を採用しているケースは、殆どが地元の農作業の都合に合わせて時期を繰り上げたり繰り下げたりしていたものが習慣化したようです。お盆の行事は大切なものだったからこそ、農作業の繁忙期に片手間では出来なかったのでしょうね。
本来のお盆はご先祖様に想いを馳せ、感謝する行事。

全国各地のお盆行事はそれこそ千差万別。地元のお祭りと合体していたり、仏教の行事として行われていたり、船にお供物を載せて流したり、精霊流し、お墓参り、そして親戚一族が本家に集まって酒を酌み交わし親交を深める等々。山口県瀬戸内地方にある私の田舎では、お盆は海に入らないのが慣わし。海水浴はもちろん、漁師さんたちもお盆期間中は絶対に船を出しません。せっかく帰省してもお盆の時期は新鮮な地元の海の幸は入手不可。そんなこだわりが今も残っています。右の写真は関東地方を中心に伝わるお盆のお供え物。ご先祖様が早く来て下さるようにとキュウリの馬はお迎え用、名残惜しいのでゆっくり帰って下さいとナスの牛はお送り用なのだそうです。

地域によって色々なかたちがあるにせよ、お盆行事と言えばご先祖様に想いを馳せ、感謝するのか基本。旧盆の日程で言えば、8月13日夕方、我が家にご先祖様をお招きし3泊4日のご接待、16日未明にお帰りになると言うのが一般的なスケジュールです。ご先祖様が在泊中の依代(よりしろ)として、お仏壇を綺麗に飾ったり、盆棚と呼ばれる特別な場所を作ったり、これまた色々な風習があります。お帰りになる際に食べ物などお供物をお土産として一緒に送るところが多いようです。昔は川や海に流す事が一般的でしたが、現代ではこれは環境汚染に繋がるとして護美箱行き(ゴミとして処分)が多くなりました。 ご先祖様が我が家に滞在している間に菩提寺の僧侶を呼び、自宅で供養をして貰うのも、お寺に墓地がある場合によく見られるかたちです。私の田舎では13日の夕方、ご先祖様をお迎えに墓地に出向いていましたが、ここ東京多摩地区では家の門口で迎え火を焚き墓地へお迎えには行かないようです。皆さんお住まいの地域ではどんなお盆行事が行われていますか?
戦後価値観の激変を経験した世代の子供達が既におばあちゃん世代、習俗の伝承は希薄に

ご承知の通り、日本は第二次世界大戦の終戦に伴い、物事の価値観が激変するという大きな文化的社会的変化を経験しました。団塊の世代と呼ばれる戦後生まれの少し上の世代、ちょうど昭和十年代前半~中半までに生まれた人たちは小中学校時代にこの激変を経験した世代です。昨日まで神様だった天皇陛下が突然人間になったり、これまで敵国文化として禁制されていたアメリカ文化が、進駐軍と共に豊かさの象徴として激流のごとく流入してきたり、それこそ『昨日までの黒が今日からは白』というほどの激変だったと言います。 そんな中戦争で疲弊し貧しかった日本に新たに持ち込まれた価値や文化は、豊かさと希望を与えてくれました。この時、それまで先人たちによって培われ伝え継がれて来た伝統文化の多くも、『古い風習』としてその地位を低くしてしまったようです。特に価値観の激変を経験した世代は、新たな価値観に順応する為に、『新しいもの=自由、豊かさ、古いもの=否定的なイメージ』として生き抜いてきた人たちが多いように感じます。その世代の子供たちが既にお婆ちゃん、お爺ちゃんになりつつあります。価値激変世代は習俗や伝統の継承には消極的な傾向がありますから、現代の『爺ちゃん婆ちゃん』たちもその辺りはドライ。先人たちが育んできた習俗や伝統文化もその伝承は簡略可が進み希薄になりつつあります。
本来の意味に戻って我が家のお盆行事を次の世代に伝えたい。
平成以降、『日本の古き良き伝統文化を見直そう!』という動きが活発化し、各地で一旦廃れてしまった祭りや行事などの復活、そして子供たちへの伝承が行われるようになったことは嬉しいことですね。私たちの家庭でも、歳時記や室礼(しつらい)など、そのエッセンスだけでも子供達に伝えてゆきたいものです。

一般にお盆には、我が家にお招きしたご先祖様や精霊のご接待に霊供膳と呼ばれるお食事を用意して供えます。およそ30センチ四方のお膳の上に、飯椀、汁椀、高坏、平椀、壺椀、の五種類と箸が並び、地域によって異なる場合もありますが、飯椀にはご飯、汁椀には汁物、高坏に漬け物、平椀に煮物、壺椀に和え物(煮豆)を盛りつけるのが一般的です。ご先祖様に一膳、もう一膳は精霊や仏様にお供えすると言う考え方もあります。私が子供の頃、お盆になると祖母が毎日霊具膳を作っていました。おままごとのような霊具膳が面白くてお手伝いが楽しみだったのを覚えています。

現代では霊具膳一式を供えている家庭の方が少なくなりました。それでも小皿やお猪口などを利用して現代風の霊具膳を作ることは可能です。お仏壇やお位牌が無くても、年に一度霊具膳を作り、写真や花を飾り、他界したお爺ちゃんお婆ちゃん、或いは曾爺ちゃん曾婆ちゃんを通じてご先祖様に想いを馳せ、感謝の気持ちを共有するのもお盆の心。脈々と受け継がれて来た命の尊さについて子供達と語り合い、感謝するきっかけになれば良いですね。お盆のお供物や霊具膳、野菜で作る馬や牛、迎え火、送り火、お団子など、案外子供達は興味津々で大はしゃぎ。楽しみながらしっかり伝えてゆきたい日本の心です。
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