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2011年12月17日(土)もっと知りたい住まいのマテリアル 「壁」その1

本年三月の東北地方太平洋沖地震で被災されました皆様、またその後の原子力事故により影響を受けられておられる皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。

201112-03-01.jpgいよいよ今年も残すところ2週間を切りましたね。日も短くなって私が毎朝出勤する頃はまだ日の出前。少し前までは顔を出したばかりの太陽を見ながらの出勤だったのですが・・・。
先日自宅のお掃除をしていて、照明スイッチ周りの壁紙の汚れに目が行きました。一度目に付くと気になりますね。『そうだ、読者の皆さんにもこのような所のお掃除の仕方をご紹介しよう!』と思ったのですが、その前に、住まいの特に私たちの手に触れるインテリア素材(マテリアル)の情報って案外知られていないな~と気づきました。ネットで調べてみてもあまり詳しい情報はありません。そこで長年の経験を生かし、私の知る範囲で定期的にマテリアルの情報をお届けしてゆこうと思います。今日はそのデビュー編。壁のマテリアルから…。

 

 

壁に使うマテリアル(素材)の事を壁装材といいます。どんな種類があるかというと?

201112-03-02b.jpg内装材、外装材、床材は聞いたことがあっても『壁装材』は耳慣れない言葉ですね。壁の仕上げ材として使うマテリアルの事を総称してこう呼びます。では壁装材にはどんな物があるでしょうか? 塗りもの、板状のもの、ブロック状のもの、シート状(織物、紙など)のものに分けられます。現代の住宅では室内の壁というとビニールクロスが大変普及していますね。ですから壁=クロス(ビニールクロス)と連想される方も多いと思いますが、実はもっと色々な選択肢があるにはあるのです。

塗りもの=しっくい、珪藻土、土塗り壁、などに代表される鏝やローラー、吹付などで施工されるマテリアルです。
板状のもの=天然木、合板、突板合板、化粧合板、セラミック系ボードなど板状の物を張ったり打ち付けたりして施工するマテリアルです。
ブロック状のもの=タイル、煉瓦、擬石、石、セラミック系材料(例:エコカラット)などピースを貼ったり止めたりして施工するマテリアルです。
シート状のもの=ビニールクロスが一般的ですが、紙の壁紙、織物、プラスチック樹脂のシート、和紙、など糊で施工するマテリアルです。

こうして改めて眺めてみると、壁に使えない物は無いのではないかと思うくらい様々な材料が壁装材になることが解りますね。

 

手始めに一番身近なシート状マテリアルの説明から

シート状マテリアル(1)織物
201112-03-03.jpgこれは読んで字のごとくです。織物で出来た壁装材。多くは裏に紙が貼ってあったりして施工性を高め、製品化されています。色、柄、テクスチュアは自由に作り出せますから、それこそバリエーションは選り取り見取り。本来は様々な表現が楽しめル物ですが、昨今は価格などの理由から人気が低下。一部の用途を除いては品数も種類もそんなに多くはありません。

長所=織物独特の手触りや優しい風合い。ある程度の調湿が可能。表面が平滑でないため埃などが室内を舞うのを抑制出来る。色、柄、テクスチュアが豊富である。天然原料(ウール、麻など)で作ることが出来る。反射音を吸収する(僅かですが柔らかい音空間になります)
短所=価格が高い(最低でも標準的なビニールクロスの2倍以上)。施工にテクが必要。汚れを落としにくい。水分に弱い。

 

シート状マテリアル(2)壁紙 
201112-03-04.jpg今ではビニールクロスに押されて陰が薄くなってしまいましたが、本来はこちらが本家本元。その起源は宮殿壁画であるとも言われ、ヨーロッパでは16世紀初め、紙に印刷された壁紙が存在したという記録もあるようです。産業革命以降大量生産が可能になると共に一気に普及し、ビニールクロスが現れるまで、ヨーロッパを中心に人々に愛されてきました。

長所=色柄などデザインの自由度、美しさ。施工性の良さ(対織物比)。価格がリーズナブル。
短所=水分や摩擦、引っ掻きに弱い。汚れを落としにくい。

 

 

シート状マテリアル(3)ビニールクロス 
201112-03-09.jpg現在最も普及している壁装材と言えるでしょう。一般的には紙の上に発泡させた塩化ビニールを薄く乗せ、色を印刷、更にエンボスロールでテクスチュア柄(凹凸)をつけて製品化します。色柄の印刷に加え、エンボス加工が可能なことから、塗り物の鏝仕上げから織物の風合い、コンクリート打ち放し、竹や木などの天然素材に至るまでそれこそありとあらゆる物の素材感をリアルに表現することが出来ます。お蕎麦屋さんの天井など、本物の竹か?ビニールクロスの印刷か?私たち業界人でも解らない事があります(笑)。表面がビニールのため水分を通しません。調湿出来ない一方濡れた雑巾で拭いてもOKです(継目は水分が入りやすいので注意)。

長所=色柄などデザインの自由度、美しさ。施工性の良さ(伸びない)。紙壁紙より更にリーズナブルな価格。汚れが落としやすい。様々な機能を付加できる。(汚れ防止、光触媒、臭い吸収など)
短所=調湿出来ない。タイプによっては摩擦や引っ掻きに弱い(表面がやわらかいもの)。以前は一部に独特の臭いや化学物質放散の問題を感じる方があったようですが、現在はシックハウス法適用のため改善されており、殆ど問題はありません。

 

201112-03-06.jpgシート状マテリアル(4)和紙 
昨今の自然志向で改めて見直されつつあります。天然自然の素材であり、独特の風合いも魅力です。(最近では裏に紙を張り合わせるなどして価格、施工性共に壁紙と遜色ない製品も出てきています。)

長所=自然素材でありエコである。独特の風合い。丈夫である。調湿可能(僅かだが結露はしにくい)
短所=一部の手漉品等では長尺の材料がない。施工が難しい。汚れを落としにくい。価格が高い(工賃も高い)。

 

 

シート状マテリアル(5)オレフィン壁紙 
201112-03-07.jpg昨今のエコ志向で生まれたマテリアルです。紙に樹脂を乗せて色柄を付ける作り方はビニールクロスと同じですが、塩化ビニールではなくオレフィンと言うグループの合成樹脂樹脂を用います。エンボス加工がビニールほど自由に出来ないため、テクスチュア表現の自由度は少々劣ります。しかし焼却の際に燃焼時間が短くダイオキシンなどの発生が殆ど無いことから、環境に優しいエコ素材として販売されています。

長所=焼却時に有毒ガスを出さない。エコである。施工性はビニールクロス並、エコマテリアルの中では最もビニールクロスに近い。
短所=エンボス加工に限りがあり、テクスチャ表現の自由度は高くない。ビニールに比べ表面が柔らかく、摩擦、水分、汚れに対する耐性は劣る。

 

シート状マテリアル(6)その他のマテリアル 
201112-03-08.jpg一時はビニールクロスに席巻されていたシート状マテリアルですが、現在は環境や健康に対する配慮から様々な『壁紙状の壁装材』が出てきています。珪藻土壁紙、ケナフ壁紙、調湿壁紙、などなど。乾式工法が主流の昨今、本来は塗り物だった珪藻土や京壁を紙の上に乗せて壁紙状にし、施工性を高めた製品も多く出回っています。これらはビニールクロスと同じ見本帳に入っていることが多いですが、ビニールと異なり耐水性には劣りますので、お掃除の時などは注意が必要です。

長所=乾式工法なので壁紙と同じ手軽さで施工出来る(工期短縮)。調湿可能である(その程度は個々に異なります)。
短所=表面がビニールに比べ水分、摩擦に弱い。継目が出る(塗り物には継目はありません)。

 

201112-03-02.jpgシート状の壁装材だけでもこんなにたくさんあります。室内の壁は、住む人が直接接する最も面積の多い部分。ご新築やリフォームの際、どうしても色柄に気持ちが行ってしまい、出されたサンプル帳から選ぶことになってしまいがちですが、実はこんなに色々な選択肢があるのです。是非業者さんにご要望を伝えて、ご自身の考え方、希望される機能に近い物を選択なさってくださいね。

今後もマテリアルシリーズは定期的に書いて参りますので、どうぞお楽しみに!

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